花のワルツとは、もちろんチャイコフスキーの"くるみ割り人形"の中の有名な一曲。誰もが一度は耳にしたことがある曲です。当然、カラヤンをはじめたくさんの指揮者がこの曲を録音しています。
実は、僕はこの曲に関しては妙なこだわりがあるのです。僕がクラシック音楽を聴き始めたころの話なのですが、ある日のこと、FMでくるみ割りの組曲版が流れていました。別になんの変哲もない、普通の演奏でした。くるみ割りは曲がいいので、ただきれいに演奏するだけで人を惹き付けることができます(と僕は思っている)。というわけで、ぼ〜っと聴いていました。そうしているうちにどんどんと曲は進んでいき、最後の花のワルツもクライマックスが近づいてきて、演奏にもだんだんと熱がこもってきます。微妙にaccelelandoもかかってきました。いよいよクライマックスです! "パンパンパンパンパーン"(最後から4小節目のテーマが戻ってきたところのつもり) ここで、予想外の出来事が起こりました。なんと、この部分だけテンポを急に倍近く落としてファンファーレのごとく高らかに歌い上げたのです!!それまで微妙に加速させておいて、そのまま一気呵成に曲を終わらせるのかと思いきや(たいていの指揮者はそのようにしている)、意表をつく展開!!斬新な解釈!!いっぺんにこの演奏の虜になってしまいました。で、いったいどんな指揮者が指揮をしているのだろうと思いを馳せました。血気盛んな若手指揮者か、それとも鋭い目でスコアを斬る現代音楽のスペシャリストか......。ラジオから流れてきた名前は、"ネヴィル・マリナー指揮アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ......."。またも予想外の展開!!主にモーツァルトを得意とし、写真で見る限りとても温厚そうなマリナーがこんな過激な演奏をするなんて......。そのギャップがまた気に入ってしまい、このCDを探しはじめました。しかし、どうも廃盤になってしまっているらしく手に入りません。そうこうしているうちに何年かたってしまい、この感動も忘れかけていたつい最近のこと、タワーレコード名古屋近鉄店で、遂に発見したのです!!輸入盤でしたが、迷わずそのCDを持ってレジへ行きました。速攻でうちへ帰りプレーヤーにかけると、まさにあの日に聴いた演奏そのもの!!数年前の記憶が蘇ってきました。なんでこんないい演奏なのにみんな話題にもしないのだろうか。これは、隠れた名盤です!!最近の調査によると、一応日本のカタログにも載っていることが発覚しました。。ぜひ一度お聴きになることをお薦めします。
p.s.カップリングされていた弦楽セレナードはつまらない演奏ですが、こちらだけはなぜか最近廉価盤で再発売されました。いったいどこに目をつけているのだろう。('96.9.8)