「7の月に恐怖の大王が降ってくる」というノストラダムスの予言に恐れおののきながら迎えた1999年、その1999年もすでに暮れようとしている。思い返せば、今年はトルコや台湾の大地震、東海村の臨界事故と、いかにも世紀末を思わせる暗くショッキングなニュースに明け暮れた1年だったが、不思議と7の月だけ何も起こらなかったような気がするのは僕だけ?そんなことはさておき、今年発売されたor聴いたディスクから自分的にブレイクしたものをいくつか。
まずはアルゲリッチから。聴く前には「あのアルゲリッチがモーツァルトのコンチェルトを!?」聴いた後には「これがモーツァルト!?」と、聴く前から聴いた後まで度肝を抜かれっぱなしだったのがモーツァルトのピアノ協奏曲第20番(TELDEC)。高貴なグルダとも熱いハスキルとも違うやりたい放題のモーツァルトで、その自由さが非常に魅力。古楽器奏法入りまくりのオケも緊張感があって◎。
アルゲリッチは最近レコーディングが多くて今年もクレーメル&マイスキーとのピアノトリオだとかパールマンとのデュオだとかが発売されたけど、うちで一番よくかかっていたのはリストの2台ピアノのための「悲愴協奏曲」(EMI)。ネルソン・フレイレとの猛烈なピアノ・デュオ。こんな誰も知らない曲(世界初録音なんだって)なのに圧倒されて打ちのめされてしまった。
ABQも相変わらず出たディスクすべてが非の打ち所がない名演だったが、ここではあえてベートーヴェン弦楽四重奏曲全集旧盤を(EMI)。タワーレコードで7枚組3690円という破格の安値が超魅力。演奏はひたすら熱いライブの新盤とは対照的に非常にクールで、そこがまたいいんだな。ただスタジオ録音なのであらがないのがつまらん、という声が心のどこかから聞こえてくる。 <- 悪人
あらどころかこんなに完璧に弾かれちゃ同じ人間として許されん、というのがヨーヨー・マのコダーイ無伴奏他(SONY CLASSICAL)。やつは指が6本あるんじゃないか、とのたまっていた友人もいた。コダーイ以外の曲も面白い&圧倒的で、ただひたすらヨーヨー・マの至芸を堪能する1枚。
最後に、これは外せないのがファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテのバッハのバイオリン協奏曲集(Virgin)。現存するイ短調&ホ長調じゃなくてあえてチェンバロ協奏曲から復刻したものを2曲。チェンバロ協1番はもともとカッコいい曲だと思っていたのだが、当然バイオリンでやってもカッコいいのだ。演奏もいつものエウローパ・ガランテらしく溌剌さ&躍動感炸裂。
(1999.12.30)