「保存版特集 至福のクラシック」

一個人という月刊誌があるんだけど、4月号の特集が「保存版特集 至福のクラシック」。こういうのを本屋で見かけてすぐに買ってしまうのが、通になりきれない通気取りのつらいところ。
とりあえず表紙からペラペラとめくっていくと、チェリストの溝口肇が出てきて、「クラシックじゃないぢゃん!」と思ったら焼酎の広告で、そんなフェイントによろめきながら特集にたどり着く。まずは初心者も喜ぶ美人ギタリスト村治佳織のグラビア連発、そして名前は知っているであろうカラヤンと小澤征爾が続き、日本人が喜びそうなベルリン・フィルvsウィーン・フィルで、通気取りは2つ以上のものを比べて優劣を競わせる(自分が競うわけではないのがミソ)のがお好き。清水直子の首席ヴィオラ奏者というポストは彼女のために新設されたんだって、さすが腕のある人は違う。その後、突然の茂木健一郎の指揮のまねごと写真に失笑をこらえつつ、モーツァルトの生涯をたどる。そしてさっきまでベルリン・フィルとウィーン・フィルを対決させていたのに、「運命」でクライバー&ウィーン・フィルと対決するのはフリッツ・ライナー指揮シカゴ響。アルバン・ベルク四重奏団を今まで聞いたこともない「ベルク四重奏団」なる女子高生を思わせる短縮形で呼んで新境地を開き、武満徹の功績をシリアスにたたえた舌の根もかわかぬうちにブルーアイランド青島広志がお笑いの世界を思い出させ、絢爛豪華なオペラの舞台をゆっくり見る暇もなく不滅の名盤で耳のみに集中。交響曲では「田園」「第九」ときて3番手がシューマンの4番、管弦楽曲も唐突にレスピーギ「ローマ三部作」とあまりに通好みな選曲に格差社会を感じ、協奏曲ではヴィヴァルディ「四季」を3種類とモーツァルトのクラリネット協奏曲を2種類聞かされ、室内楽曲ではバッハの「フーガの技法」を2回も聴かされ(これはつらい!)、疲労がたまったところでウィーン観光、ようやく特集の幕も下りたが、カーテンコールに現れたのは藤村俊二で、ワイングラス片手に「僕はノムリエ。」
ちなみに次号の特集は「落語 噺家最強列伝」だそうです。誰をターゲットにしているのだろうかこの雑誌。
通気取り

クラシックのサイトで知らない人はいないCLASSICAの飯尾洋一さんの書いた「クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!」を買った。パラパラと見てたら、通の友人とコンサートへ行くって話が。
「英雄交響曲」の素晴らしさに感動した後、通の友人がさらりと言う。 「今日はハズレだったねー。縦は合ってないし、管は鳴ってないし、弦も非力。指揮者ダメすぎ、オケも全然やる気なかったし。」
ギクリ。これ僕のことかしら。もし僕のことなら、「通」というのは間違いで、正しくは「通気取り」。
でも本にも書いてある。
自分は感動したのに友人「通」氏はつまらないと言い切った。この場合、得をしたのは自分ではないか。友人の耳が、圧倒的に多くの情報量を受け取っていることはたしかだろう。にもかかわらず、自分は豊かな感動を得たけれど、友人は何も得ていない。
うーむ、まさに世の真実。でもこの「自分」も、感動を重ねるうちにちょっとのことでは感動しなくなり、そのうち「通」氏のようになってしまうかもしれない。いや、きっとなる。なぜなら、それが世の真実だから。
世の中、知らないほうがいい場合が多すぎる。いや、すべての場合においてそうであると言っていいかも。
この本は文庫。クラシック初心者と僕のような通気取りで実は何も知らない人に非常にお勧め。そういや最近新書版で、クラシックの本が妙に多い気がする。買って読む人いるのかしらん。本のカバーから、オレの話を聞いてくれという著者の独りよがりの匂いがプンプンしてくる。それならネットのブログを巡回したほうが安上がりだし面白い話がたくさんあると思うのだが。このページみたいに。というのがあからさまに独りよがり。新書なら「バカの壁」「国家の品格」「ウェブ進化論」「決断力」あたりのほうが断然イケてる。あぁ、このイケてるっての、死語。あぁ、クラシック音楽のページを標榜しつつ、お勧め本にクラシック音楽の本がない。あぁ、実は全然クラシック音楽のこと知らないのかも。でも自分では「通」だと思っている。これすなわち、「通気取り」。あぁ....。
読書の秋
読書の秋。「世界の弦楽四重奏団とそのレコード」「クラシックでわかる世界史」「失敗の本質」「緑のダム」「温暖化がカネになる」「新しい株式投資論 合理的へそ曲がりのすすめ」「投資銀行」「スリッパの法則」「いつでもラジオ英会話」「本格焼酎を愉しむ」など、たくさん抱え込んではいるものの、いつになったら読み終わることやら。
と思っている間に秋は過ぎ、冬になってしまった。
今は「世界の弦楽四重奏団とそのレコード」で紹介されていた、先日亡くなったトマス・カクシュカが第1バイオリンを務めていたというヨーロッパ弦楽四重奏団の録音を聴いてみたいなぁと思っているところ。CD化はされていないらしい、残念ながら。
「国家の品格」
親から借りてきた新潮新書の藤原正彦著「国家の品格」を爆読していた。かなり面白い。「すべての日本人に誇りと自信を与える画期的日本論」という大仰なオビにひるむが、読んでみると世の中斜めから見る視点と自虐的なユーモアが快い。すらすらと読めてしまうし言っていることは正論。まだ読んでない人は必ず読むこと。
こういう本は結局は武士道に回帰していく。昔の日本は良かった。新渡戸稲造の「武士道」は途中で挫折状態だけど、またなんとか読んでみる必要がありそうです。
「周期表の決定版」

はせちゃんが読んでたのを見て欲しくなったNewton2006年10月号「周期表の決定版」を注文して買っちゃった。周期表の成り立ちから、各元素の紹介まで、マニアック極まりない決定版。
チェロの低弦でよく使われるThomastik社のSpirocoreは、クロム巻、銀巻、タングステン巻の3種類があるんだけど、この3つの金属をNewton2006年10月号「周期表の決定版」で見てみる。クロムは三価クロムとして落花生や玄米に多く含まれているそうですが、金属クロムは密度が7.19で価格が1.5~1.6円/g。銀のイオンは細菌にくっついて呼吸に必要な酵素の働きを止めてしまうので、銀イオンを入れて洗濯すると繊維がコーティングされて細菌の繁殖が抑えられ、防臭の効果が期待できるんだって。密度は10.5で価格が43.2円/g。タングステンはすべての金属のうちで最も融点が高いので、電球のフィラメントに使われるんだって。へー。密度が19.3で価格が3.85円/g。
弦の巻き線として使っている分には体積はだいたい同じだろうから、1cm^3あたりに換算すると、クロムは10.8円、銀は453.6円、タングステンは74.3円。Spirocoreの定価は一番太いc線で、クロム巻が5145円、銀巻が10290円、タングステン巻が13650円。あれ、銀とタングステンが逆転してる。というわけで今回の単純比較によるとSpirocoreは銀巻が圧倒的にコストパフォーマンスがいいという結論になりました。
ていうか、うちに使い古しの弦がたくさんあるんだけど、巻き線ほどいてくず鉄屋とかに売れないのかな。売れないよな。
