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ブラッハー&紀尾井シンフォニエッタ東京

だいぶ経っちゃったけど、先週の日曜日に何年ぶりかで岐阜のサラマンカホールへ行ってきた。コリヤ・ブラッハー&紀尾井シンフォニエッタ東京。モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲、ブラームスのヴァイオリン協奏曲、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番をルドルフ・バルシャイが弦楽合奏に編曲したもの、以上3曲。ブラッハーは協奏曲ではもちろんソリストでしかも弾き振り、他の2曲もコンサートマスターの席に座って弾き振りで、かなり大変そう。そのせいかアンコールはなかった。
モーツァルトはビブラートを廃した歌い回しで印象的だったけど、さすがにヴァイオリニストなだけに、ヴァイオリンはノンビブラートで弾いていたけど低弦まで徹底されていなかった。まぁでもご愛嬌ということで。2曲目のブラームスのヴァイオリン協奏曲、この大曲を弾き振りとは!長い前奏を素人っぽい指揮で切り抜け、いよいよソロが入ってくる段になって客席の方を向きおもむろに楽器を構える。その音のなんという力強さ!強い箇所は男性的に力強く、弱い箇所では繊細でかつ強い意欲がみなぎり、40分の大曲があっという間に終わってしまった。ブラームスのこの曲はオーケストラが分厚すぎてソロがよく聴こえないって言うけど、ありゃ全然嘘だね。しっかり弾くソリストに、丁寧なオーケストラなら、とてもいいバランスで素晴らしい響きで聴くことができる。そしてソロが一通り終わる度にオケの方を向いて指揮をしていたけど、素晴らしいオケなので、ぶっちゃけ指揮必要なし。ソロの後ろでピッチカートをパート間で受け渡す部分とか、もちろん第2楽章冒頭のオーボエのソロとか、とても綺麗で充実した演奏だった。もともと好きでよく知ってるつもりの曲だったのに、改めて曲の素晴らしさに感激してしまったけど、それも素晴らしい演奏のおかげ。休憩後のショスタコーヴィチは強弱の幅を非常に大きくとっていたのが印象に残った。やっぱりあんなに小さい音で弾いても大丈夫なんだ。
この日はもう1つうれしいことがあって、旧知のおじさま・おばさまと何年ぶりかで再会したこと。とても元気そうでよかった。ここは娘さんが3人いて、上2人とは昔よく一緒に弾いたりして、一番下の人はドイツでバイオリンやってて、3人とも美人で性格もいいけど、僕的に一番ポイント高いのはこのおばさま。相変わらずの高エネルギーにたじたじとなってしまった。そして一番下の子が最近ケルンのオーケストラのコンサートマスターになったってことは風の便りに聞いていたんだけど、落ち着いてよかったとか、あのコントラバスの真ん中の人河原さんじゃない?あらーケルンでよくお話させていただいたわ、とか言っていた。やっぱケルンまでよく行くんだって。でもすごいよなーヨーロッパのオーケストラのコンマスだよ。僕らから見たら単にすごいなーうらやましいなーって感じだけど、それはそれで大変なんだろうけど。そしてドイツで豊田先生の後に誰につくかって時に、「まぁブラッハーでいいんじゃない」とアドバイスしたってのを確か豊田先生が自分で書いてたよなぁ。僕はブラッハーの演奏聴いてあっさり感激しちゃったんですけど、そのブラッハーに対して「まぁ、いいんじゃない」なんて、豊田耕兒氏さすが、レベルが違うと惚れ直したところ。
今年こそ優勝
今日は何年ぶりかで岐阜のサラマンカ・ホールへ行ってきた。遠かった。それについて書くのにいろいろ思案していたところ。
まぁそれは明日以降にして、今日は生まれ変わったグランパスのことを是非書きたい。正直、ストイコビッチ監督がここまでやるとは思わなかった。開幕戦はテレビで中継されたので見てたんだけど、ベンゲルの頃を思い出させる、後ろからどんどん人が出てくる攻撃サッカー。メンバーだけ見れば明らかに上のパープルサンガ(シジクレイに佐藤勇人、アントラーズにいた柳沢まで!)に内容では勝って1-1。昨日は優勝候補のレッズを相手に2-0の完勝。
そういうわけで、今年こそ優勝しちゃうんじゃないかと本気で思い始めた。なんか去年の開幕直後もそんなこと言ってた気がするけど。今の調子がどこまで続くか。
もちろん相手に助けられた面もあるわけで、柳沢の後半ロスタイムのシュートを外したのはあまりにありえなくてワールドカップを思い出させたし、レッズのGK都築がグラの小川にパスして2点目を献上したのもプロのプレーと思えなかった。うまくいってない時ってのはそんなもんだよね。相手ながら見てて気の毒になってしまった。
コリヤ・ブラッハー

昨日はヴァイオリンのコリヤ・ブラッハーのリサイタルを聴きに、しらかわホールへ行ってきました。しらかわホールの「11AM」という、昔やってた卑猥な深夜番組からパクったのかと思わせる名前のコンサートシリーズの1つ。
曲は、バッハの無伴奏パルティータ第2番、フランクのソナタ、ベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」という、これでもかと通俗名曲を並べたプログラム。バッハは最初あまり気が乗らない感じだったけど、徐々にペースを上げていき、終曲の有名なシャコンヌは充実した圧巻の演奏。バッハのこの曲はすごいね、弾いてる方も聴いてる方もどんどん曲に引き込まれていき、早速ブラボーの声もかかる。続くフランクのソナタからはピアノの若林顕との共演、バッハとは打って変わって、1楽章冒頭をすごいビブラートをこれでもかとかけて始め、ピアノともども情感たっぷりの演奏。休憩後の「クロイツェル・ソナタ」も堂に入った立派な演奏で、しっかり堪能しました。こういうあまりに有名な曲を、充実して聴かせるのが真の実力者ですね。
客席はほぼ満席で、こんな通好みのリサイタルにこんなに入るんだなぁとちょっと意外だったんだけど、どうもブラザーが協賛に入ってたらしくて、会社の付き合いみたいな風貌の人もいた。それでも名フィルの時とは違い、客席も演奏に集中している雰囲気があった。僕みたいにもともと好きな人が多かったんだろうけど、いい演奏をすれば泣く子も黙る。あの演奏なら泣く子も黙る。
「保存版特集 至福のクラシック」

一個人という月刊誌があるんだけど、4月号の特集が「保存版特集 至福のクラシック」。こういうのを本屋で見かけてすぐに買ってしまうのが、通になりきれない通気取りのつらいところ。
とりあえず表紙からペラペラとめくっていくと、チェリストの溝口肇が出てきて、「クラシックじゃないぢゃん!」と思ったら焼酎の広告で、そんなフェイントによろめきながら特集にたどり着く。まずは初心者も喜ぶ美人ギタリスト村治佳織のグラビア連発、そして名前は知っているであろうカラヤンと小澤征爾が続き、日本人が喜びそうなベルリン・フィルvsウィーン・フィルで、通気取りは2つ以上のものを比べて優劣を競わせる(自分が競うわけではないのがミソ)のがお好き。清水直子の首席ヴィオラ奏者というポストは彼女のために新設されたんだって、さすが腕のある人は違う。その後、突然の茂木健一郎の指揮のまねごと写真に失笑をこらえつつ、モーツァルトの生涯をたどる。そしてさっきまでベルリン・フィルとウィーン・フィルを対決させていたのに、「運命」でクライバー&ウィーン・フィルと対決するのはフリッツ・ライナー指揮シカゴ響。アルバン・ベルク四重奏団を今まで聞いたこともない「ベルク四重奏団」なる女子高生を思わせる短縮形で呼んで新境地を開き、武満徹の功績をシリアスにたたえた舌の根もかわかぬうちにブルーアイランド青島広志がお笑いの世界を思い出させ、絢爛豪華なオペラの舞台をゆっくり見る暇もなく不滅の名盤で耳のみに集中。交響曲では「田園」「第九」ときて3番手がシューマンの4番、管弦楽曲も唐突にレスピーギ「ローマ三部作」とあまりに通好みな選曲に格差社会を感じ、協奏曲ではヴィヴァルディ「四季」を3種類とモーツァルトのクラリネット協奏曲を2種類聞かされ、室内楽曲ではバッハの「フーガの技法」を2回も聴かされ(これはつらい!)、疲労がたまったところでウィーン観光、ようやく特集の幕も下りたが、カーテンコールに現れたのは藤村俊二で、ワイングラス片手に「僕はノムリエ。」
ちなみに次号の特集は「落語 噺家最強列伝」だそうです。誰をターゲットにしているのだろうかこの雑誌。
通気取り

クラシックのサイトで知らない人はいないCLASSICAの飯尾洋一さんの書いた「クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!」を買った。パラパラと見てたら、通の友人とコンサートへ行くって話が。
「英雄交響曲」の素晴らしさに感動した後、通の友人がさらりと言う。 「今日はハズレだったねー。縦は合ってないし、管は鳴ってないし、弦も非力。指揮者ダメすぎ、オケも全然やる気なかったし。」
ギクリ。これ僕のことかしら。もし僕のことなら、「通」というのは間違いで、正しくは「通気取り」。
でも本にも書いてある。
自分は感動したのに友人「通」氏はつまらないと言い切った。この場合、得をしたのは自分ではないか。友人の耳が、圧倒的に多くの情報量を受け取っていることはたしかだろう。にもかかわらず、自分は豊かな感動を得たけれど、友人は何も得ていない。
うーむ、まさに世の真実。でもこの「自分」も、感動を重ねるうちにちょっとのことでは感動しなくなり、そのうち「通」氏のようになってしまうかもしれない。いや、きっとなる。なぜなら、それが世の真実だから。
世の中、知らないほうがいい場合が多すぎる。いや、すべての場合においてそうであると言っていいかも。
この本は文庫。クラシック初心者と僕のような通気取りで実は何も知らない人に非常にお勧め。そういや最近新書版で、クラシックの本が妙に多い気がする。買って読む人いるのかしらん。本のカバーから、オレの話を聞いてくれという著者の独りよがりの匂いがプンプンしてくる。それならネットのブログを巡回したほうが安上がりだし面白い話がたくさんあると思うのだが。このページみたいに。というのがあからさまに独りよがり。新書なら「バカの壁」「国家の品格」「ウェブ進化論」「決断力」あたりのほうが断然イケてる。あぁ、このイケてるっての、死語。あぁ、クラシック音楽のページを標榜しつつ、お勧め本にクラシック音楽の本がない。あぁ、実は全然クラシック音楽のこと知らないのかも。でも自分では「通」だと思っている。これすなわち、「通気取り」。あぁ....。
