バッハの協奏曲
前回の続きですが、バッハの3台のバイオリンのためのコンチェルトは、3台のチェンバロのためのコンチェルトBWV1064の編曲。ハ長調の明るい曲です。
バッハのチェンバロ協奏曲はたくさんあるんだけど、基本的になにか他の楽器のための協奏曲から編曲されたものという認識があって、実際バイオリン協奏曲として残っているイ短調とホ長調の曲はチェンバロ協奏曲のト短調BWV1058とニ長調BWV1054と同じ曲で、有名な2台のバイオリンのための協奏曲ニ短調BWV1043は2台のチェンバロのための協奏曲ハ短調BWV1062と同じ曲で、チェンバロ協奏曲のヘ長調BWV1057はブランデンブルク協奏曲第4番と同じ曲で、番外として4台のチェンバロのための協奏曲はヴィヴァルディの有名な4つのバイオリンのための協奏曲と同じ曲。
まぁこうやって両方とも残っている場合は何も問題はないと思うんだけど、チェンバロ協奏曲は他にもたくさんあるんで、ここから元の楽器のための協奏曲へ復元しようという人がいるわけです。その中で最も有名というかこの曲ばっかりが知られているというのが、バイオリンとオーボエのための協奏曲で、これは2台のチェンバロのための協奏曲ハ短調BWV1060からの復元。その次によく知られているのが(と言ってもすでにほとんど知られていないけど)バイオリン協奏曲ト短調で、これはチェンバロ協奏曲ヘ短調BWV1056からの復元。第2楽章が「アリオーソ」という名前で有名な曲と同じ旋律のもの。そして僕がチェンバロ協奏曲の中で一番カッコよく最強な曲だと思っているニ短調BWV1052はバイオリン協奏曲に復元されたものがある(ファビオ・ビオンディとエウローパ・ガランテの録音が最強によい。曲がいいから当然だが)。
しかし、こういう復元って本当に正しいのだろうか?チェンバロ協奏曲でチェンバロの楽譜しかないはずなのに、なんで元の曲がバイオリンとかオーボエとかってわかるのだろうか?今回の3台のバイオリンのための協奏曲だって、本当に元は3台のバイオリンなのだろうか?というわけで、合宿で同室だったT氏は先日までブリュッセルにいてプティット・バンドで弾いていた人なので、聞いてみたんだけど、きちんと調べてみないとわからないという前提付きで、断片が残っているのかもしれないし、まぁこういうのはそうだと言えばそうなんだよ、ということだった。
まぁ、そりゃそうだよね。
今回の3台のバイオリンのための協奏曲は、こういう編曲があるってことは全然知らなかったんで初めは驚いたし、送られてきた楽譜(チューリヒのHugって出版社?こういう出版社があるの?)がルドルフ・バウムガルトナーの編曲って書いてあって、この人はフルニエが弾いたハイドンのチェロ協奏曲の録音のバックで指揮をしてる人だし、記憶違いかもしれないけどカザルスとも何やら演奏していたような覚えがあるんで、へーこんな人がこんな編曲してるんだ、面白いけどうさんくさいなぁ、なんて思ってたら、合宿に行ったらベーレンライター版を渡されて、つまりベーレンライターからも編曲者は違うけれど同じ編成で楽譜が出てたので、3台のバイオリンというのはきちんと市民権を得た編曲なんだろうと感じた次第。日本のクラシック音楽の権威である音楽の友社の「作曲者別名曲解説ライブラリー12 J.S.バッハ」には「3つの旋律楽器がヴァイオリンだけであるか、ヴァイオリン、フルート、オーボエであるかは意見のわかれるところだが、音域がほとんど同じであること、共通の音型が多いことなどから、今日では3つのヴァイオリンであることが確実視され、新バッハ全集の復元もそれを踏襲している」とある。さすが、権威に言われるとなるほどといった感じで納得してしまう。
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