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バルトークの引用
こないだFMで、チョン・ミョンフン指揮東京フィルの演奏でバルトークの「管弦楽のための協奏曲」を放送していた。昔うちの父親が、バルトークがショスタコーヴィチを引用してヒャラヒャラと笑う箇所があるんだ、と力説してて、その時は軽く聞き流してたんだけどちゃんと聞いてなかったもんだから、バルトークの確か管弦楽のための協奏曲だったよなぁ、ショスタコーヴィチの何の曲だったかなぁ、なんて長年謎のままだったんだけど、FMの吉松隆氏の解説でようやく謎が解けた。やっぱり管弦楽のための協奏曲だった、それの第4楽章。引用されている曲はショスタコーヴィチの交響曲第7番、「レニングラード」というタイトルがついてて、シュワルツェネッガーがチチンブイブイとか言っていたアリナミンVドリンクのCMで使われていた箇所だった。
そうやってわかって聞くと、ああなるほどと、かなり面白い。
吉松隆氏によると「当時ラジオで放送されていたショスタコーヴィチの曲を引用して云々」ということだったけど、この曲が作曲された1943年当時は第二次大戦の真っ最中で、ショスタコーヴィチの「レニングラード」はソビエトではナチスに対抗するシンボル的な音楽として初演から大成功で、アメリカでもトスカニーニとストコフスキーとクーセヴィツキーが演奏の権利を争ったりしたそうで。それにしても、バルトークはアメリカに来てろくに仕事がなくて生活も苦しく体調も悪かった、そんな彼を助けるべく破格の値段で作曲を依頼してきたのは「レニングラード」を演奏しようとしたクーセヴィツキーで、なぜその曲でわざわざ「レニングラード」の勇ましい部分を引用して嘲笑する理由があったのだろうか。
この引用した部分は、ソビエト軍隊を表しているというのが一般的だと思っていたんだけど、どうもネットでいろいろ調べてみると、ショスタコーヴィチ自身もレハールの「メリー・ウィドウ」から引用したものらしい。そしてレハールはヒトラーから支持を受けていたそうで。バルトークはそこまで理解して、ナチスを嘲笑する意味で引用していたのだろうか。それとも彼は「国家の奴隷にまでなって作曲するものは馬鹿だ」と言っていたらしいから単にショスタコーヴィチのことが嫌いだったのだろうか。クーセヴィツキーは演奏してどう思ったのだろうか。1つ謎が解けるとまた新たな謎がやって来る。
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