これからの10年も
今頃になって昭和天皇側近のメモが出てきたり、今頃になって4月に安倍晋三が靖国神社に参拝していたことが報道されたりしてるけど、僕も今頃になって月曜日のTVタックルのことを書こうと思う。もうだいぶ忘れてしまっているけど、靖国神社の話。型どおりの議論が進んでいる中でハマコーがほえる!さながら天皇の戦争責任を追及しているかのような。確かに開戦を決めたのは東条を始めとするいわゆるA級戦犯かもしれない(開戦を決めたのはそうなるように仕向けたアメリカではないかという話もチラリと)が、当時の大日本帝国憲法においては軍事の最終決定権は天皇にあり、天皇が了承したからには最終責任も天皇にあるのではという話。そして日本のため、天皇のために戦場で尊い命を落とした人達に手を合わせるのは当然のことではないのか。先の大戦に思いを馳せて目に涙を浮かべつつ持論を展開するハマコーの迫力に、いつもはバカ騒ぎの面々も静まり返ってしまい、見ているこちらも引き込まれてしまった。たまにこういう迫真の演説が聞けるのがこの番組の嫌いになれないところ。ハマコー素晴らしい。見直した。開戦前夜の日本の緊迫した状況をかんがみると、今の靖国参拝の是非しかも他国の顔色をうかがいつつ、なんて議論は全然本質と離れたバカらしい空虚なものに思える。
じゃあ本質は何なのか?というのは難しいところ。結局は個人の心の問題で、参拝しようがしまいがお祈りの気持ちを持っていればいいんだけど、参拝したしないの表面上の行動だけで周りは見るわけで。結局その人の心の内なんて誰もわからない。天皇や皇族なんて自分の心のうちを見せない最たるもので、ちょっとした発言が政治利用されてしまうし、番組で言ってたけど昔防衛庁長官に就任した人が「国防は大事だからがんばって」と天皇に激励されて、うれしくてそれを記者会見で言ったら、社会党とかから「天皇の政治利用だ」と批判されて結局すぐ辞めることになってしまったとか、そんなことがあると天皇さんも何もしゃべれなくなってしまう。それだけに、僕なんかはいつも一家揃ってニコニコと手を振っている姿を見て「家で親子喧嘩とかしないのかな」と思っていたけど、今回のメモは人間臭い天皇を知ることができて、人間天皇を実感することができてちょっと安心した。
ちょっと話が外れてきたところで、最近読んだ堺屋太一の「大変な時代」という、右肩上がりの時代は終わってこれからは成熟社会、コストをかけて拡大志向でいくのではなくてローコスト化を目指すべきだという主張の本で、田中角栄が作った上越新幹線で角栄本人に「むりやり新幹線をお作りになって、大きな赤字が出て長年に渡って国民の負担になりますよ」と言ったら、「ちゃうちゃう、新潟へ新幹線を作れと言ったが、超高速新幹線を作れとは言っていない、あれが180kmの新幹線なら採算が合ったんじゃないか」と答えたという話とか、普通だと技術が進歩するとコストも下がって物の値段も安くなるのに、なぜか医療費は高くなるばかりで、医療の世界ではコスト削減の考え方はまるでない、といったような興味深い話が続いてかなり面白い本だったんだけど、その中から。
経費削減の話を持ち出すと必ずと言っていいほど「社員の士気が下がる」という反論が出るが、士気が下がると拡大意欲が低下する。しかし今や右肩上がりの時代ではないので、量よりも質、売上高よりも利益率が追求されるとすれば、やたらとやる気を出して事業を広げることは、時として危険であり、ローコスト化のためにはやる気を抑えることも必要である。昭和10年代に陸軍軍人にやる気がなければ太平洋戦争の悲劇は起こらなかった。中央の不拡大方針に従わず戦線を拡大させ、「軍のためを思って働いた者を罰すれば全軍の士気が低下する」として命令に反して戦線を広げた軍人達が粛清されずにむしろ出世し、決定的な失敗をするまでそれが続いてしまった。
うーむ、確かに。
堺屋の言うことに間違いないような気がする。
いいぞ、太一!
やる気があってはいけない。僕の今までの人生がすべて肯定された瞬間である。
こんな感じでこれからの10年も続いていくので、よろしくお付き合いのほどを。
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