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Top 100 Works
日本ムラヴィンスキー協会から、「Yevgeni Mravinsky A Concert Listing 1930-1987」が送られてきた。僕宛ではないけど今は僕のもの。この本はムラヴィンスキーが生涯に行なったコンサートの日時、曲目がすべて網羅されているというとんでもない代物。アーデンのマスターがビル・エヴァンスのディスコグラフィみたいなの持ってたのを見せてもらったことあるけど、まぁそういう感じのもの。どこの世界にもマメな人はいるものですね。
アーデンのマスターは目を輝かせながら僕に見せてくれたけど、その僕は今目を輝かせながらこれを書いてる。どこの世界にも似たような人はいるものです。
それはともかく、終わりの方に「Top 100 Works」ということでムラヴィンスキーが取り上げた回数の多い曲が順番に並んでいる。限られたレパートリーを繰り返し演奏していた人だからか、最後の方のウェーバー「オイリアンテ序曲」とかストラヴィンスキー「ミューズの神を率いるアポロ」とかシュトラウス「アルプス交響曲」とかボロディン「だったん人の踊り」なんか生涯に数回しか取り上げていない。てかこんな曲やってんだな。もっともTop100から漏れた曲もあるだろうけど。
ざっと見渡して、同じ作曲家の曲でもかなりの偏愛ぶりがうかがえる。ブラームスは2番と4番が多くて1&3は妙に少ない。モーツァルトの交響曲は33番と39番のみ。ハイドンは88番のみ。シューベルトは「未完成」のみ。ソ連のプロコフィエフでさえ6番の交響曲と「ロメオとジュリエット」抜粋のみ。チャイコフスキーの交響曲でも5番と6番だけが突出して多い。ブルックナーは7番と9番のみ。てかブルックナーなんてやってるんだな。ベルリオーズは回数少ないけど「幻想交響曲」と「ファウストの拷罰」と「レクイエム」がある。てかベルリオーズなんてやってるんだな。そして若い頃オペラの副指揮者をやってたからか、ビゼーのカルメンなんてのもあったりする。
ようやく上位に目を向けると、まぁソ連の作曲家が多くて、一番多いのはチャイコフスキーの5番、第2位がショスタコーヴィチの5番でまぁそうだろなと。そして4位はチャイコフスキーの6番、6位はショスタコーヴィチの6番。5とか6という数字が好きなのかな。7位は1965年の超高速快演が有名なグリンカの「ルスランとリュドミラ」序曲。8位にやっとドイツ人が現れて、ワーグナーの「タンホイザー」序曲。てかムラヴィンスキーって割とワーグナーの曲はいろいろやってるんだけど、政治情勢的に大丈夫だったのだろうか。ワーグナーってヒトラーが大好きな作曲家なんじゃなかったっけ。
3位と5位がまだだった。5位はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」抜粋。ムラヴィンスキーのいかつい顔にはおよそ似合わない曲だけど、CDも何種類か出てると思うし、かなりいいですよ。通常の組曲版も指揮したんだろうけど、ムラヴィンスキーは組曲にない曲を集めた独自の抜粋があって、くるみ割り人形がねずみの王様と戦うところとか、最後のワルツとか、僕は組曲に取り上げられている曲よりもはるかにいい曲だと思うので、彼の抜粋は非常に的確かと。
そして3位ですが、これはチャイコフスキーの名曲中の名曲だと思うんだけど普通の人は全然やらないよね。ロメジュリや1812年やスラブ行進曲やイタリア奇想曲なんかよりよっぽど深い、含蓄のある、哲学的な曲だと思うんですけど。幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」。確かにムラヴィンスキーの芸風にはぴったりやね。この曲は深いです。深い。この曲聴いたら他の曲はみんな軽率な尻軽な曲ですよ。
という自分にも十分に偏愛ぶりがうかがえる。そしてよりにもよってこんな曲、人生悟ってしまったかのような年寄り臭さ満載な自分。
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