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2006年11月16日

 ■ NHK CLASSICAL ミュンシュ&ボストン響 1960年来日公演

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ミュンシュ初来日となったボストン響との1960年の映像。ベートーヴェンの「英雄」とラヴェルの「ダフニスとクロエ」第2組曲。モノクロ。

ミュンシュってフランスの指揮者って印象があったんだけど、フランスに帰化したということであって元々はドイツ人なんだって。エネルギッシュなきびきびとした演奏がベートーヴェンにぴったりはまる。ラヴェルも輪郭のはっきりした演奏で、最後の「全員の踊り」は長い指揮棒を振りまくるミュンシュの真骨頂。

この演奏会はどんなシチュエーションだったのか、演奏前に場内アナウンスで曲の説明が入り、ラヴェルでは指揮台に飛び乗ってすぐにでも指揮を始めたいミュンシュに対してのんびりしたアナウンスが出鼻をくじく。そして最も注目なのは演奏会の最初に演奏されたチェロ奏者以外起立して演奏される、日本とアメリカの国歌。シンバルの強打で始まりティンパニのロール打ちで終わる「君が代」に我々日本人の国歌感は根底から覆される。ブックレットの解説ではかの宇野功芳氏が「全員起立(オケも)の君が代のすごいこと!・・・同曲のベスト演奏といっても過言ではない。」と書いているが、これはいくらなんでも勘違いと言えよう。

2006年10月17日

 ■ IM TAKT DER ZAIT, Nikolaus Harnoncourt

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ベルリン・フィル自主制作CDシリーズ "IM TAKT DER ZAIT (時代のタクト)"からの1枚。アーノンクール指揮によるライブで、バッハの組曲第1番、バイオリンとオーボエのための協奏曲、組曲第3番、の3曲。

実はこの定期演奏会、僕は生で聴いてるんだよね(詳しくはこちら)。その時のことが楽しく思い出されるとともに、生演奏と録音の違いが体験できてとても興味深い。組曲第1番のゆったりとした序曲の、いくつか並んだ細かい音符を均等に弾かずに次の長い音に向かって加速させるとか、その長い音は中ぶくらみにして表情を持たせるとか、生で聴いたときの楽しい印象が録音ではっきり感じとれる(ただしそのあまり縦が合わないことはしょっちゅう)。バイオリンとオーボエの協奏曲はマイクの位置が極めて奏者に近いのか、大ホールでの印象とは違って極めて親密な雰囲気。大ホールでは聴き取れなかった細かいニュアンスがわかって楽しい。派手な組曲第3番は控えめながらもベルリン・フィルのパワフルさが炸裂。でもアリアは圧倒的にホールで聴いたときのほうが透明感があった。あのアリアは本当に美しく神々しく、素晴らしかった。

まぁとにかく、すべての曲の一部一部、一音一音にすべて意味づけしようとしているかのような、細部の細部まで何かしら表現しようという意欲が満々。聴き終わって思わず考え込まずにはいられない演奏ですが、この聴き手に考える余地を与えてくれることが、僕がアーノンクールが好きな理由かと感じた。

実際の演奏会ではイ短調のバイオリン協奏曲も演奏されていた。僕にはそれが一番考えさせられる演奏でぜひまた聴けたらと思っていたのだけど、今回は収録されず残念。

2006年07月17日

 ■ Mravinsky Soviet Conductor, Russian Aristocrat

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BBCが制作したドキュメンタリー。ムラヴィンスキー夫人やクルト・ザンデルリンク、マリス・ヤンソンスなどへのインタビューを通して、ムラヴィンスキーの人間性や音楽に対する姿勢を描く。僕はムラヴィンスキーの映像は結構見てると思うけどそれでも、若い頃の「花のワルツ」など初めて見る映像もあり、若くスマートでアクションの大きいムラヴィンスキーの指揮を垣間見ることが出来る。しかしこんな美男子が、後年には苦虫を噛み潰したような顔してニコリともしなくなってしまうんだなぁ。ザンデルリンクがボリス・ゴドゥノフの言葉を引用しているが「私は最高峰に上り詰めたけれども、幸せだとは思えない」という言葉、この言葉ほどムラヴィンスキーの全てを表しているものはないと思う。それだけ自分に厳しく、満足することなどなかったのだろう。まぁ自分はこんな人の演奏を小さい頃から聴かされていたので、単純に音楽を楽しむことができないのも仕方ないかなと感じる。

続けてウェーバーの「オベロン」序曲とチャイコフスキーの「フランチェスカ・ダ・リミニ」の演奏が収められている。「オベロン」は荒い画像も相まって、この明るく華やかな曲に辛気臭い雰囲気が充満、それがアイロニックに楽しめてしまう自分もどうかしている。しかしムラヴィンスキーの18番、「フランチェスカ・ダ・リミニ」は文句なしに名演。演奏される機会が少ない曲だけど素晴らしく名曲だと思うし、非常に力のこもった名曲の名演だと思う。

ちなみにドキュメンタリー中に新幹線や「待望の初来日」と日本語で書かれたポスター、駅まで詰め掛ける日本人ファンの姿が。明らかにNHKの映像。あぁ早く来日公演の映像がDVD化されないだろうか。

余白にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでロジェストヴェンスキーがレニングラード・フィルを振ったチャイコフスキー4番の映像が収められている。ムラヴィンスキーの後で見るとあまりにも能天気なオヤジ風のロジェストヴェンスキー。ムラヴィンスキーよりも何年も前の映像なのに画像鮮明、音質良好なのは西側と東側の映像技術の違いか。演奏自体はオーソドックスなもので、ちょっと金管の鳴りが悪いような気がするのは録音のせいか、トロンボーン・チューバは凄いけどトランペットは普段の録音ではもっと高らかに鳴っている気がする。圧巻なのは第4楽章で、ムラヴィンスキーに鍛えられた一糸乱れぬ圧倒的な合奏能力を惜しげもなく披露。曲の終わりが近づくにつれて客席もノリノリ、最後の音が終わる前から嵐のような拍手と大歓声が沸き起こる。ロンドンの聴衆はコンサートの楽しみ方をよく知っているなぁと感じた。

2006年06月26日

 ■ NHKクラシカル・シリーズ カラヤン2点

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NHKに残されている貴重な映像が楽しめるDVDシリーズがスタート!これから続々とリリースされるのかと思うと、もうそれだけで僕には鳥肌物です。途中でやめたりしないでいくらでもジャンジャン出していただきたいと思います。

第1回発売分から、カラヤン指揮のものを2点。1つめは1957年のベルリン・フィルとの来日公演。ベルリンから2日以上かけて日本にやってきた彼らの、まさに迫真の演奏。舞台後方に日本とドイツの国旗が掲げられる中、「マイスタージンガー」前奏曲、「ドン・ファン」、「運命」が気迫みなぎる指揮者とオーケストラによって演奏される。若き日のカラヤンの指揮は、もうこの頃から目をつむってうつむき加減で、でもとてもエネルギッシュで腕の動きが大きくとてもスケールが大きい。70年代以降はどうしてああもつまらなくなってしまったのだろうか。オーケストラのアンサンブルも非の打ち所がなく、そして何より迫力ある音がすごい。時々静止画像になったり音声がモノラルになるのはご愛敬だが、映像が鑑賞に堪えないものでも構わないからそのまま見せて欲しかった気がする。おまけに名古屋市公会堂でのバッハ「G線上のアリア」も入っています。

もう1点は1959年のウィーン・フィルとの来日公演で、ブラームスの1番と4番、シューベルトの未完成。妙にピッチが高いのは慣れれば気になりません。こちらは画質が劣り静止画像の割合も多いけれど、演奏は素晴らしい。ブラームス1番ではボスコフスキーがコンサートマスターを務める。第2楽章のソロも軽々とほいほいと弾いちゃってます。

こうやってベルリン・フィルとウィーン・フィルを比べて見るのも面白い。ベルリン・フィルは勤勉なゲルマン民族、ウィーン・フィルはどことなくほいほいと投げやり気味。

それと2点とも当時のNHKのニュースの映像が特典として入っているけど、なぜか音声がカットされているのが残念。この当時の味のあるアナウンサーの声も一緒に収録してくれれば、時代の貴重な資料としての価値も出ると思うのだが。