はやしひろおのホームページ/はやしひろおの音盤棚 on Blog

« NHKクラシカル・シリーズ カラヤン2点 | メイン | IM TAKT DER ZAIT, Nikolaus Harnoncourt »

2006年07月17日

 ■ Mravinsky Soviet Conductor, Russian Aristocrat

060717.jpg
BBCが制作したドキュメンタリー。ムラヴィンスキー夫人やクルト・ザンデルリンク、マリス・ヤンソンスなどへのインタビューを通して、ムラヴィンスキーの人間性や音楽に対する姿勢を描く。僕はムラヴィンスキーの映像は結構見てると思うけどそれでも、若い頃の「花のワルツ」など初めて見る映像もあり、若くスマートでアクションの大きいムラヴィンスキーの指揮を垣間見ることが出来る。しかしこんな美男子が、後年には苦虫を噛み潰したような顔してニコリともしなくなってしまうんだなぁ。ザンデルリンクがボリス・ゴドゥノフの言葉を引用しているが「私は最高峰に上り詰めたけれども、幸せだとは思えない」という言葉、この言葉ほどムラヴィンスキーの全てを表しているものはないと思う。それだけ自分に厳しく、満足することなどなかったのだろう。まぁ自分はこんな人の演奏を小さい頃から聴かされていたので、単純に音楽を楽しむことができないのも仕方ないかなと感じる。

続けてウェーバーの「オベロン」序曲とチャイコフスキーの「フランチェスカ・ダ・リミニ」の演奏が収められている。「オベロン」は荒い画像も相まって、この明るく華やかな曲に辛気臭い雰囲気が充満、それがアイロニックに楽しめてしまう自分もどうかしている。しかしムラヴィンスキーの18番、「フランチェスカ・ダ・リミニ」は文句なしに名演。演奏される機会が少ない曲だけど素晴らしく名曲だと思うし、非常に力のこもった名曲の名演だと思う。

ちなみにドキュメンタリー中に新幹線や「待望の初来日」と日本語で書かれたポスター、駅まで詰め掛ける日本人ファンの姿が。明らかにNHKの映像。あぁ早く来日公演の映像がDVD化されないだろうか。

余白にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでロジェストヴェンスキーがレニングラード・フィルを振ったチャイコフスキー4番の映像が収められている。ムラヴィンスキーの後で見るとあまりにも能天気なオヤジ風のロジェストヴェンスキー。ムラヴィンスキーよりも何年も前の映像なのに画像鮮明、音質良好なのは西側と東側の映像技術の違いか。演奏自体はオーソドックスなもので、ちょっと金管の鳴りが悪いような気がするのは録音のせいか、トロンボーン・チューバは凄いけどトランペットは普段の録音ではもっと高らかに鳴っている気がする。圧巻なのは第4楽章で、ムラヴィンスキーに鍛えられた一糸乱れぬ圧倒的な合奏能力を惜しげもなく披露。曲の終わりが近づくにつれて客席もノリノリ、最後の音が終わる前から嵐のような拍手と大歓声が沸き起こる。ロンドンの聴衆はコンサートの楽しみ方をよく知っているなぁと感じた。


このエントリーのトラックバックURL:
http://concavo-convex.com/movabletype/mt-tb.cgi/44